岩手日報 2011年6月9日(木) 社会面に掲載されました。
被災地から
太陽光 被災者に明かり
陸前高田で発電設備
東日本大震災の被災地で電気が通っていない地域に、太陽光発電設備をNPO法人が無料で設置している。
約3ヶ月ぶりに明かりがともり、被災者は喜びをかみしめた。
津波が建物をのみ込んだ陸前高田市気仙町。数人が身を寄せる高台の金剛寺周辺は電気が通じていない。
NPO法人「環境エネルギー政策研究所」(東京)のスタッフら3人が6日、敷地内で避難生活する佐藤初男さん(64)のテント脇に縦約1.2メートル、横約0.65メートルのパネル3枚を設置し、簡易型の太陽光発電設備が完成した。
佐藤さんはこれまで、支給された手動の発電機を3時間回して携帯電話の通話1回分の電気を確保してきた。
夕暮れの闇にあふれる電球の明るさに「うれしい」と目を輝かせた。
同研究所は市民団体と協力し、全国から集まった寄付金や企業の協力で、これまでに本県や宮城の避難所など約30戸に太陽光発電設備や太陽熱温水器をを設置した。
金剛寺の設置に協力した地元ボランティアの新沼暁之さん(36)は隣の大船渡市で被災。約一ヶ月間、電気のない生活を続けた。「まだ電気のない生活を送っている人がいる。明かりがついた時の感動を早く届けたい」と語った。